スタッフブログ

ローン完済後は資産価値ゼロ?

2015/05/21

国の統計によれば、日本の住宅の建て替えサイクルは35年程度と言われます。やっと返済し終えたと思った矢先に解体だなんて…これほど理不尽なことはありません。これではローンの期間と住宅寿命が同じであり、まるで住宅ローンを払い続けながら貸家で生活していることと変わりありません。これには日本の税法が大きくかかわっているとも言われます。日本の税法では、およそ25年で建物の価値がゼロとなるような会計制度が導入されていますので、長く使うより、建て替えてしまった方が得という風潮がああるようです。土地付きの建物であっても10数年後に売却すれば、建物は二束三文…何とか土地代だけが残るといった、およそ’使い捨て住宅’と言われる所以がここにあります。そんな中、日本は長い期間デフレに見舞われ、これを機に、建物に対しても長期にわたって使おうとする機運が高まりました。そしてほどなく国は2008年ごろ、住宅の寿命を長くする「200年住宅」という政策を打ち出しました。

日本の住宅は200年持つのか?

200年は到底無理としても、せめて100年ぐらいは持たせることは可能です。日本の建物が欧米に比較して寿命が短い主な原因は、木材の腐れによるものがほとんどです。これらの欠点を改善したのが20数年前に提唱された高断熱、高気密住宅です。この工法は断熱層に対して、防湿気密層を連続させ、外部に通気層を作ることによって建物内の水蒸気をコントロールして水蒸気による結露を押さえ込もうとするものです。木材の大敵である水蒸気をおさえて腐りさえしなければ100年住宅は十分可能となります。

まだまだ甘い断熱基準

平成12年制定の品確法において、住宅の性能表示が可能となり、これによって長期優良住宅の認定制度がスタートしました。主なる5項目の中で、特に省エネ性能と耐久性は高断熱住宅によって実現された項目と言っても過言でありません。しかしながら国が制定した省エネ基準のレベルは次世代省エネであり、将来にわたって、値下がりを期待できないエネルギー価格を想定すれば、決して満足する数値ではないのです。将来上がり続ける原油価格に気を遣いながら光熱費を節約し、我慢を強いられる生活であれば、家を建てる意味さえ失うことになってしまいます。

国の基準を超えた長期優良住宅を作る!

少子化に伴う人口減少は、これまでの住宅産業の構造を大きく変えると言われます。また少子高齢化時代には新築住宅の増加は望めず、むしろ中古住宅の流通が盛んになることが予想されます。そのような時代が到来すれば、長期優良住宅に基づいた認証を得た建物とそれ以外の建物では不動産流通での評価が大きく変わってきます。評価認定が無くても売却は容易ですが、性能評価を受けたものに比べ価値が下がることは否定できません。自らの建物の価値を高めるためには、国の基準よりもはるかに上を目指した性能の住宅を目指すことが重要なのです。大枚をはたいて住宅を建てたはいいが、’ローン完済後にはスクラップ’では余りにも悲しすぎるとは思いませんか?…。