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建てた時期で異なる耐震性能

2015/06/02

日本の建物は建てられた時期によって耐震性能が異なります。中でも昭和55年以前に建てられた建物は極めて基準が緩いため、特に注意が必要です。新耐震基準は昭和55年に制定されましたが、それでも当時は現在のような接合金物で緊結することはなく、簡単なV字金物等を使用し、主に壁量のみをチェックすることだけに重点がおかれていました。

転機となった阪神大地震

平成7年の阪神大地震は多くの倒壊被害を引き起こしました。これを機に平成12年には建築基準法が大幅に改正されたのです。この改正では壁配置のバランスを重視し、建物倒壊の大きな原因ともなった引き抜き力に対抗するためにホールダウンアンカーの設置が義務化されました。また平成12年以降、基礎の鉄筋検査と合わせて、接合金物などの検査が行われるようになりました。これによって少なからず建物倒壊による死亡事故のリスクは軽減されたとみてもよさそうです。

耐震等級の内訳

耐震性能は関東大地震、阪神大地震が基準となっています。等級1はこの地震の揺れに十分耐えられるもの、等級2はこの地震の1.25倍の揺れにも耐えることができるもの、等級3はこの地震の1.5倍の揺れに耐ええるものに分類されています。弊社が施工する長期優良住宅は、すべての建物において耐震性能3を基本に構造計算されており、先の東日本大地震では施工した80数棟の建物の殆どは大きな被害を受けることはありませんでした。(お客様の声参照)

被害の大きな田の字型の間取り

東日本大地震によって、大きな被害を受けた建物と被害がなかったかものを比較するとその原因が見えてきます。その中で所謂、田の字型の和室の配置を伴う建物は特に被害が集中したようです。襖や障子で区画された和室は夏を快適に過ごす目的であれば理にかなった間取りですが、地震に対する壁量が極端に少ないという欠点もあります。地震等の水平力の揺れに対抗するには壁の量が大きくかかわっています。また、和風の建物は柱を独立させて見せる手法であり、上部に重い瓦を乗せることから振幅が増長するのです。丁度大道芸の皿回しと同じく、重い皿を回すには棒が絶えず揺れ動いているのと同様の現象です。長い柱を用い、重厚な瓦屋根は見た目には風格があり、お金のかかった建物の代名詞でもありますが、極めて耐震性の脆弱な建物でもあるのです。

PCを駆使した家づくり

これからは確認申請が通る為だけの筋違計算のみならず、PCで詳細な計算式が求められる時代です。貴重なお金によって建てたはいいが、地震のたびに戦々恐々とした建物で生活することだけは避けたいものです。長期優良住宅はすべての建物に構造計算書を添付し、性能評価を取得した建物です。大きな地震を経験したうえでの家づくりに最も必要なことは、確実な耐震性を持った建物であるか否かを数値で確認できるスキルを持った業者を選択できるかどうかにかかっています。