続、ゼロエネ住宅の概要
2012/12/05
改正省エネ基準では躯体と設備のいずれかにおいて、1次エネルギーの削減率を計算式によって、そのトータルを明確にさえすれば、ゼロエネ基準には適合することになりますが、建物の資産価値を見据えた時に、どちらに重点を置けばよいかは判断に迷うところです。例えばゼロエネ基準に適合した工法を得意としない工務店であるならば、多額の費用をかけて発電量の高い太陽光パネル等を設置さえすればゼロエネとしての体裁は保てます。しかし基本となる躯体の熱損失が甘いものである限り、資産価値としての低下は免れません。現在の日本の住宅事情は、供給過剰の状態にあり、これからのストック社会を考慮すれば、設備のみに軸足を置く方法は決して賢い選択とは言えなくなるのです。躯体の断熱を強化しなければならない更なる理由には、本件以北の地域は日射量の取得条件だけを比べても温暖で日射が強い西日本に比べて圧倒的に不利であること、それらを克服するためにも、より断熱性能を高め、熱損失の小さな建物を建てる以外にはゼロエネ基準をクリアできる方法がないのです。また、この法令改正の裏には建設業者に対して省エネ知識のレベルアップを求めるとともに、スキルを持たない業者の淘汰も示唆していますので低炭素社会に向けて技術の向上が不可欠となります。