エコハウスというレトリック
2014/01/12
民主党政権下で鳩山内閣は2020年までに1990年比で温暖化ガスを25%削減することを国際社会に公約しました。この数値は1990年の段階に並べると実質8%の削減となります。しかしこれは電力を原発で賄う前提のもとでの数値であり、原発停止が継続されれば国際公約は忽ち画餅となってしまい公約を実行することは難しいものとなります。日本の温暖化ガスの産業別排出割合をみると工場などの生産部門に対して、家庭を含む民生部門の数値がほとんど改善されておらず、逆に家庭部門では1990年から2003年までに4千万トン、民生部門だけでも1億3千7百万トンも増加しており、この部門の削減が喫緊の課題となっていることは誰の目からも明らかです。これらの状況を少しでも改善するため国をあげて再生可能エネルギーやゼロエネルギー住宅と言ったエコの機運も高まっていますが、その中にあって高断熱住宅が省エネルギーの代表格として市民権を得るまでになったことはご存じのことと思います。現在高断熱住宅に使用されている断熱材はグラスウールやロックウールなど鉱物系を原料としたものと、ウレタンや発泡プラスチックなど石油系を原料とするものに大きく分けられます。しかしながら温暖化ガスを削減する目的であればどのような断熱材を使用してもよいのかは判断が分かれるところです。耐用年数を過ぎた建物の解体においては鉱物系の断熱材は不燃材であることから再利用が可能であることに対し、石油系のものはすべて焼却によって廃棄しなければなりません。しかも焼却時に石油系の断熱材は大量の温暖化ガスを排出します。これらの事実を検証すれば石油系の断熱材は断熱性能や省エネに疑問がなくても問題を先送りにしているだけということが分かってきます。今、現在がエコと言われる建物であっても実のところ温暖化ガスの元凶であったとしたら大きな矛盾を抱えることになってしまいます。