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住宅の断熱と健康について

2016/02/03

2月1日の民友新聞の朝刊に高断熱住宅と健康に関しての記事が掲載されました。以前から温度差の大きい室内での健康被害は、各方面から報告されていましたが、漸く地元紙も取り上げたことに対しては遅きに失したような気もします。厚労省の人口動態統計によれば、自宅の浴室やトイレなどで亡くなる所謂不慮の事故死者は、交通事故死者の3倍となっており、これまでに社会問題にならなかったことが不思議なくらいなのです。特に死亡原因でもある循環器疾患は、温度差による急激な血圧の上昇が誘引となって発症し、致命的な事故につながっているとも指摘されています。発症要因の血圧は、年齢に比例し、高ければ高いほど寒さによって上昇するとされ、特に起床時の室内温度が最高血圧に重大な影響を及ぼします。医師などで構成する住医学研究会の提言では、暖かく温度差がなく、適当な湿度が保たれ、化学物質を使用しない建材を用いた住環境に住めば、病気になる確率を確実に減らすことができるとも言われていますが、いまだに高断熱住宅は健康に悪いとか、或いは日本の住宅は元来風通しを良くしたものであり、そのため寒いのは当たり前などと堂々と妄言を連ねる業者や消費者が多いことには甚だ残念としか言いようがありません。ちなみに英国の保健省によれば、冬季の推奨室温は21℃、9~12℃では心疾患のリスクが増大し、5℃以下はハイリスクとされています。このように健康と室温の因果関係は科学的に証明されているにも拘わらず、外観や内装のみに拘泥し見た目は立派に作っても決して良い建物とは言えません。