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太陽光発電に頼らない家づくり

2015/07/06

最近、太陽光発電の買取価格が安くなっていることにお気づきですか?これは震災後の原発の稼働停止に伴い、新築住宅などに太陽光発電が一気に普及したことによる需要と供給とのアンバランスによるものです。また、これからは新規事業者が増えることも予想されるため’出力制御’の対象が拡大され、住宅用の10kw未満のものに対しても買取制限の可能性が出てきました。電力の買取は、あくまでも事業者である電力会社内部の方針で決まります。今後住宅用に関しては、運用上の特例がある為に、実際に出力制御を受ける可能性は低いとされていますが、買い取り制度に対して、過度の期待を持ち続けることは考え物です。

売電のメリットは減少傾向

震災直後、太陽光発電の買取価格は1kwあたり46円前後ぐらいでしたが、この価格は年ごとに見直されてきたため、今年度も再び大幅に引き下げられることとなりました。これによって売電価格によるメリットは年々減少し、反対に買取価格にかかる費用の上乗せする賦課金は、上昇傾向にありますから今後は自ら発電したものは自ら使用することが求められます。しかしながら発電したものを直接使用するには蓄電システムなど様々な機器の導入が不可欠となりますので、費用対効果を考えれば今後の太陽光発電の設置数は横ばいか減少傾向と予想されます。

電力自由化への対応

平成28年度からは、電気の購入先を選択できる電力の自由化が始まります。これによって太陽光発電による買取価格も今までと違ったシステムが構築されると想定されますが,震災直後の価格を超えることを期待することはできません。太陽光発電に過大に投資した結果、売電価格の引き下げによって、投資した金額が償却されるまでの期間が長ければ、太陽光発電自体余りメリットを持たない恐れが出てきます。

基準を超える断熱住宅を作る

発電量の30%を占める原発や火力発電の化石燃料を削減するために効果的なことは、各家庭の省エネを確実に進めることです。しかしながら改正後の省エネ基準では、最も人口密度の高い関東以西の外皮平均熱貫流率の基準値(UA値)は5~7地区が0.87と1、2地区比べておよそ半分であり、全体としては次世代基準並みの低い数値なのです。ところでこれまで経産省が実施したゼロエネ住宅の補助金は、当初先着順に交付されていましたが、今では一次エネルギーの削減率が高い順に採択された経緯をどのように考えますか?これは断熱性のさほど高くはない質の悪いゼロエネ住宅が、補助金欲しさに多数応募したことによるものです。本当の意味でのゼロエネ住宅とは、太陽光発電ありきではなく、1~2ランク上の地域を目指し、確かな断熱性能を持った建物が基本とならなければ温暖化ガス削減の切り札にはなりません。