申込金という罠
2026/02/16
メールを覗くと身に覚えのない損害賠償請求の知らせを度々目にすることがある。これも詐欺の一種であろうと開くことはないが、素人にとっては訴訟、裁判など聞くと不安にかられ、ついメールを開いて誘導され挙句の果てには訴訟取消料などと称して多額の金銭を詐取されるケースが後を絶たない。これらの詐欺は人の不安感につけ込んだオーソドックスな手口だが住宅においてもこれと同様、クライアントの弱みに付け込み契約を急がせるケースがあるため注意を要したい。
某住宅メーカーは、展示場を訪れたAさんに対し、土地が決まっていないにもかかわらず間取りを提案し話が進むにつれ、ほどなく申込金と称して数十万から百万単位の金銭を要求したと言う。この金銭は正式な契約において契約金の一部に充てると言われAさんはその言葉を信用し素直に応じてしまった。申込金と称する金銭は支払ってしまうとより囲い込みが図られ営業マンの思うツボとなる。仮にキャンセルを申し入れても素直に返金される確率は少なく、逆にそれまでかかった費用と称して多額の金銭を請求されることも少なくない。それらの費用の支払いを拒否すると今度は損害賠償の訴訟を起こすと脅され泣く泣く申し込み金を諦めるか心ならずも高額な契約を結んでしまったと言うパータンはよくある話だ。
このようなケースは業者がユーザーを囲い込むためにとられる営業マンの典型的な手法である。原則的に間取などは土地が決定してから計画に至るものであり、土地がないところに建物をプラン出来るはずもなく、例え話が進捗した段階でキャンセルしてもユーザー側に瑕疵はない。よってそれまでかかったとされる打ち合わせなどの’経費’と言われる費用は、あくまでも業者側の営業活動に関わるものあり、それをユーザー側に負担を求めるのは筋違いというものだ。しかしながらユーザー側には打ち合わせなど回を重ねるうちに顔見知りになった営業マンに対し途中でキャンセルできない後ろめたさも醸成されていく。ついつい最後には本人の希望とかけ離れた金額の工事金を提示されても半ば諦めて契約してしまう。このように土地も決まらないうちから図面をプランするなどの営業手法は建築を知りえたものであれば、ありえない話だが営業マンとっては迅速な契約成立だけが目的であり、例え常識はずれであっても手練手管をもってユーザーを囲い込むことが自らの保身となり高額な成功報酬に繋がるのだ。契約すれば工事の詳細には関与することはなくなり、あれは入ってないこれは追加など’あらゆる面で話が違う’と気づいても後の祭り‥工事金が膨らむことがあっても少なくなることはない。「後悔先に立たず」である。くれぐれも甘い言葉にはウラがあることも理解することが必要であり、申込金などと言われたならば一度立ち止まることをお勧めしたい。




