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安全とは言い難い外張断熱(可燃性断熱材)

2019/04/12

弊社正面の桜

 外張断熱に主に使用されている発泡プラスチック系断熱材や、直接内側から壁や屋根面に吹き付ける発泡ウレタン断熱は、グラスウール充填工法に比べ極めて容易な、そして確実な断熱工法としてポピュラーなものになっていますが、本当に安心安全なものなのでしょうか?

可燃性断熱材は論理破綻

 高断熱住宅は、少ないエネルギーによって快適な居住空間を作るのと同時に、排出ガスを抑制するエコな建物です。特に高断熱住宅の先進地である北欧、ドイツなどは環境問題に対する国民の意識は高く、ハウスメーカーや建材メーカーは、国民の厳しい視線を意識した営業戦略が不可欠となっています。これらの国では日本では外張断熱に頻繁に使用されている石油を原材料にした発泡プラスチック樹脂やウレタン系の断熱材は、法律で規制され使用することさえできません。当たり前と言えば当たり前の話なのですが、化石燃料の使用を削減する目的で作られた建物において、それらを原料とする断熱材を使用すること自体、論理矛盾と捉えているのです。

問題の先送り

「我が亡き後に洪水はきたれ」とは自分の生きている時代さえ満足すれば、孫子の時代は我関せず…という例えですが、発泡系プラスチック、ウレタン系断熱材を使用した建物は、まさにこれと同義語です。現在は暖かく、そして地球環境に優しい省エネ住宅と標榜する建物であっても建物寿命が尽きれば解体するしかありません。解体すれば一般的には焼却処分となりますが、石油から作られたこれらの断熱材は、焼却時に大量のCO2とともに有毒ガスを発生させます新築当時は燃料費がかからず、エコで省エネと謳った建物が温暖化ガスの元凶となってしまったなら、これこそブラックユーモアそのものです。

全国消防長会が可燃性断熱材の不燃化を要望

 ある記事によると、全国消防長会は可燃性合成樹脂発泡体を断熱材に用いた消防対象物に係る防火安全対策の推進に関する要望の中で、倉庫等に使用されるウレタン樹脂、スチロール樹脂等の可燃物合成樹脂発泡体を用いた断熱材は、火災発生時に燃焼拡大及び爆燃までの時間が短時間であり、避難、消火活動に大きな危険が伴うとされ、可燃性樹脂発泡体を断熱材に用いた建物に係る安全対策の推進を要望し警鐘を鳴らしているとのこと…。

外壁材は不燃が基本

 とりわけ住宅密集地で一度火災が発生すれば、少なからず隣家にも延焼する危険が伴います。将来必ず起こるであろうと言われる首都直下型地震や、南海トラフ地震などを想定した場合、大規模な火災が予想されますが、発泡プラスチック樹脂やウレタン系の断熱材を使用した建物は、その時どのような状況になるのかは火を見るより明らかです。2018年、東京で某ゼネコンのビル新築現場において溶接の火花による発泡プラスチック樹脂断熱材に引火し、作業員5名が死亡した事故や、ロンドンの高層アパートで大量の死者を出した火災は、全て可燃性断熱材を使用した結果による災害です。住宅は家族の命と財産を守るためのシェルターともいえるものですが、特に火災に弱い木造住宅は、もしもの場合に備え、より安全、安心なものを使用することが重要です。