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地場工務店と有名ハウスメーカーの違い

2015/05/13

ありとキリギリスのような話(新住協抜粋記事より)

今から数年前、弊社が所属する新住協会員に実際にあった話を紹介します。長野県の軽井沢町界隈を営業エリアとして住宅建築を営む工務店A社は首都圏から移住するBさんの建築を請け負いました。Bさんは高断熱住宅に関心が高く、真冬に東北地方の高断熱住宅の暖かさを自分の目で確認するほど熱心に取り組んでいました。そしてその建物は夏に完成したそうです。同じ時期、隣地に有名ハウスメーカーの家が建ちました。その家の主婦であるCさんは、時々Bさんの家を訪問して是非我が家を見に来てほしいと誘われたそうです。Bさんはその家を訪問し、その家の室内の装飾や設備機器に住宅展示場のような雰囲気を感じていたそうです。もちろん家を購入した金額が高いことも承知です。その年の冬、軽井沢に厳しい冷え込みが続いたある日、CさんがBさんを訪ねてきて玄関に入ると開口一番こう言ったそうです。「おたくは温室みたいだわ、あたたかくていいわねエ…」。そしてそれから春になるまで一度の来訪もなかったそうです。寒い家だったのでしょう「高いお金をかけて作ったのにこんなはずではなかった」と…後悔しつつ家の中に閉じこもっていたのかもしれません。

別荘地で高額収入者をターゲットにするハウスメーカー

このハウスメーカーは軽井沢にも住宅展示場を所有し、富裕者層を待ち構え、土地を斡旋して別荘を建てることを目的としています。事業の目的はあくまでも収益であり、住宅が売れさえすれば暖かいとか寒いとかを考える必要はありません。Bさんが何かを悔いつつとは、そのようなことを感じたのかもしれません。これは軽井沢を舞台にした話ですが、ハウスメーカーの本質はこれとまったく同じです。TVでコマーシャルを流し、大勢の従業員を抱えて住宅を販売する…これらの費用のすべてが原価に組み入れられますが、これらは建築そのものにかかるコストではなく、住宅をより多く売るがための費用です。その上手な宣伝方法に魅せられて大きな会社=いい会社と思い込んでしまっているのです。

地場工務店は高額な宣伝費はかからない!

一方、営業部隊を持たない地場の工務店は広告もぶたず展示場も持っていません。ゆえにコストはすべて建築にかかる費用です。資本力では劣っていても性能が良い家を作ることが唯一会社を存続させる手段と捉えているため、より一層のコスト削減に努め、より良い住宅を作るために更なる研鑚を重ねているのです。断熱性能の違いが、季節の良い時期にはわからなかった住宅も、真冬になるとはっきりその差が出てきます。「外観は立派でも冬になったら寒い家」、そんな家にならないように細心の注意を払うことが大切です。