スタッフブログ

加速するゼロエネルギー政策

2015/06/12

国は京都議定書において、温暖化ガスの削減目標を2008年からの5年間の平均で、1990年にくらべ、6%の削減目標を表明しましたが、2011年の東日本震災によって,拠り所であったすべての原発が運転停止となったため、今では世界に約束した数値そのものの実行性が問われかねない状況となっています。しかしながら先のドイツサミットにおいて、日本は2030年までに2013年排出時の26%の削減という大胆な目標を世界に向けて表明しましたが、その実行性は…

意外と大きい住宅の排出量

工場の煙突などをイメージすると温暖化ガスの元凶は、工場などの産業部門ではないかと誰もがイメージしがちですが、日本で最も削減率が遅れているのは住宅を含む民生部門です。国はエネルギー基本計画に基づき、住宅を含むこれらの建物の省エネ化を図るため、2020年までにゼロエネルギー住宅を新築住宅の標準にするという目標を設定しました。

急速に普及するゼロエネルギー住宅

ゼロエネルギー住宅の加速化は日本だけではなく、EUやアメリカの一部でも2020年までに、新築全戸でゼロエネルギー化を達成する目標が掲げられています。日本が世界に約束した削減目標を達成するためにも重要な政策課題となったゼロエネルギー住宅は、先導事業から普及促進へと大きく舵が切られたのです。

消費者とともに切迫感の薄い工務店

アンケートによれば、新省エネ基準を理解している消費者や工務店は全体の4割にも満たないとのこと。2020年に開催される東京オリンピックの陰に隠れた重要な政策を改めて注視する必要がありそうです。将来の車社会に例えれば、すべての車がハイブリッドや燃料電池車を含む燃費の良い車が席巻するであろうと言われているにも拘わらず、あえて燃費の悪い車をわざわざ買い求めることなどしないはず。これと同様、時代の流れが見えていながら、相変わらず外観等に拘る消費者や、燃費の悪い建物を造り続ける工務店側にも意識の変革が迫られています。

スマートウェルネス住宅とは

断熱性の高い住宅は健康にも良いことは多方面において実証されています。未だに高断熱住宅に住むと風邪をひきやすいとか、健康に悪いなどの流言飛語もあるようですが、住んだことの無い、また、それらの住宅を作ったことがない人たちの’負け惜しみ’にも聞こえます。歯止めのかからない燃料費や、高齢化社会を見据えた医療費の抑制のためにも住宅のゼロエネルギー化は時代の要請でもあるのです。

太陽光発電ですべてを賄う?

一部の業者の中には高断熱化をしなくても、創るエネルギー(太陽光発電)が消費エネルギーを上回ればゼロエネルギー住宅であるという考え方があることも事実ですが、この認識は本末転倒そのものです。この考えに基づけば、低断熱の家では、使用するエネルギーが削減できないため、太陽光への初期投資が過大となるだけであり、温室効果ガスの削減という本来の目的を達成することはできません。国の方針は、あくまでもエネルギーの削減率を高め、太陽光発電に頼らず、使用するエネルギーを極力少なくすることが目的なのであり、合わせて将来枯渇するであろうと言われるエネルギー価格の上昇に対する備えをするためでもあるのです。