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矜持を捨てる

2016/05/08

建築業界では2020年基準を見据えZEHの認定制度の講習会は、どこの会場でも大入り満員の状況だそうな…高断熱、高気密工法を理解している業者であれば、それほどナーバスになる必要はないのですが、この制度を初めて知り得た業者にとってZEHを確実に施工できるかどうかは、この先の経営に大きな影響を与えることにもなってきそうです。余談ですが、新住協の講習会において、基礎断熱の建物に改めて床断熱を施工したところ、床下結露が発生した事例が紹介されました。この原因は基礎断熱と床断熱によって、床下の空気が低温状態のまま滞留し続けたことによるもの。時として断熱材をあたりかまわず入れさえすれば、建物は暖かくなるという誤解に基づいた考えは、このように後に大きなリスクさえもたらします。同様に、そして誤解に基づいた断熱工事は、以外にも公共工事の中でも数多く行われているのです。公共建築は、民間に先駆けて国の政策を導入し、民間に対しても指導的な役割を担います。しかし設計に関わる多く業者が、未だ断熱工事を正しく理解していない為、相も変わらず中途半端で無駄な断熱工事が延々と行われています。設計業者は省エネや耐震基準など国の重要な政策に関し、いち早くクライアントや施工業者にその情報を伝えなければならない立場にあり、合わせてこれを咀嚼しフィードバックする大切な役目もありますが、実態として、講習会に出席しているのは殆どが格下と言われる施工業者の方が圧倒的に多いのは何故なのでしょうか。設計業者は時に先生と呼ばれるが故に、講習会において格下の業者と同席したり、また施工業者の後塵を拝することだけはプライドが許さないのでしょうかね…そして施工業者などに対しても素直に尋ねることができません。設計者は省エネ基準に従わない公共事業の設計だけでも食べてはいけますが、施工業者はそういうわけにはいきません。聞くは一刻の恥、聞かぬは一生の恥…今は建築業界にとっては、この格言通りの時代なのです。