高断熱住宅(長期優良住宅)は夏も快適!
2019/05/18
今では余り聞かなくなりましたが、高断熱住宅は夏暑くて住みにくいという、まことしやかな話がながれ、事情の知らない多くの方が、それらの噂話を信じ切っていた時期がありました。その理由は、高断熱住宅は締め切った状態であるため、窓から入る太陽熱や室内の発生熱によって室温が上昇し、暑くなると思われていたのが原因のようです。
夏に対応した設計手法を取り入れる
夏は太陽高度が高くなるため、むしろ南面よりも朝晩を意識した東西の窓の配置や、形状を考慮することにより室内に入る日射量をコントロールすることが可能です。例えば、今までは部屋から望める景観を優先させるため東西面の窓を大きく解放させる手法をとっていましたが、幅の狭い縦辷り窓などを設置することなども遮蔽方法のひとつです。また南北面の通風を確保するためには、建物の計画段階で予め風が通り抜けるように窓の配置など平面プランを考えておく必要があります。
朝の涼しいうちに窓を開放する
高断熱の建物は、熱の移動が極めて小さく保温性に優れていますので、夏の日中に熱い空気を取り入れてしまうと壁や天井に熱がこもりエアコンをフルに運転させないとなかなか冷えてはくれません。そのため朝の涼しいうち(午前8時頃まで)に外気を取り入れ窓を閉め切れば、涼しい状態は午後まで続きますのでエアコンをフルに稼働させなくとも除湿程度でも涼しい状態が保てます。
熱帯夜に対応するには
高断熱住宅は寝苦しい熱帯夜であっても涼しく過ごせます。外気温は午前零時を過ぎるころには徐々に下がってきますから、午前1時頃を目安にエアコンの運転を停止してから窓を開放すれば、それ以降は寝苦しさを感じることはありません。また、弊社が採用している基礎断熱は、強制換気によって外気を一度床下を経由してから室内に取り入れます。床下はコンクリートによって室内よりも涼しい環境にあり、熱い外気は一度冷やされてますので、これらの部分をうまく利用することも重要です。また屋根の形状による小屋裏の空気だまりは、2階の室温を上昇させる原因となるので、小屋裏にダクト用換気扇を設置し、夕方から強制的に排出すれば2階の室温低下につながります。
エアコンは弱運転を継続することがメリット
熱い空気を一度室内に取り入れてしまうと冷却するためにエアコンをフル運転する必要がありますが、これでは省エネとは言えず強運転を短時間にするよりも,むしろ弱運転を継続する方が電気代は安くなります。現在のエアコンは、性能も良くなり以前に比べると圧倒的に省エネ性がアップしてはいますが、なるべく運転時間を短縮できるように夜間と早朝の外気温をうまく利用することを心がけると快適性とともに省エネ性が向上します。高断熱住宅は一日中に締め切ってしまうより、涼しい時間帯をうまく利用することと日中の厳しい時間帯には窓を開放しない方法さえ守れれば極めて快適な建物なのです。