換気のプロを目指す…BIS講習会より
2019/10/04
ZEHの基本でもある高断熱高気密住宅は断熱気密はもとより計画換気及び全館暖房も重要な要素です。中でも計画換気は断熱や気密工事の陰に隠れあまり重要視されることは有りませんでした。それらの原因の一つとして’室温が快適であり息ができれば空気の質は不問’と言う換気に対する希薄さにあるようです。現代人の室内における生活時間は、外にいる時間よりも圧倒的に長く室内はより安全でなければならないはずですが、そうとも限らない事例が報告されています。スェーデンは外気の質が世界最高レベルであり環境意識の高い国にも拘わらず皮肉にも高気密化された室内の空気はタバコの煙やカビにまつわるアレルゲン物質によって汚染が進み、喘息及びアトピー等を引き起こして年間500人を超える人たちが亡くなっているとも言われます。弊社はこれらの事象を認識し、高断熱高気密住宅を施工する際には①状況に応状じた新鮮空気を供給する②外気は常に新鮮で汚染した空気が拡散しない③外気をフィルタリングする④換気量の制御④安定供給及び外気温に影響されない⑤1時間に最低0.5回の換気量を確保⑥第1種換気による熱回収など…加えて換気の種類及び使用機材の特性などを精査し、住み手側の健康を守るために快適で健康な室内環境の実現に努めています。昨今殆どの住宅メーカーが高断熱高気密住宅を標榜していますが、残念ながら今のところ計画換気に関してはプロと呼べる設計者や技術者はゼロと言っても過言ではありません。それらの原因として前述のように社会全体における室内環境に対する意識の欠如、これによる換気技術者の制度化の遅れなどがあります。安全で健康に良いとされる住宅を建てたはいいが汚染された空気の中に閉じ込められていたのでは高断熱高気密住宅を建てる目的さえ失いかねません。
久しぶりのBIS講習会は、高断熱高気密住宅に携わる人間の自己研鑽を重ねることへの重要性を再認識させられた貴重な一日となりました。