知足心(足るを知る心)
2012/11/12
ゼロエネルギー住宅現場の付加断熱の様子です。
人は還暦を過ぎたとき残された人生に対してどのように考えるのでしょうか?まだ若い、まだまだやれる…あるいは平均寿命から推察してあと20年残すのみ…とか様々な考えが錯綜する年代でもあるようです。この年になると若いときに比べて物欲が薄れていくことを感じます。あれこれを手に入れたいとする心理は仏教でいう三毒の中での貪欲に含まれます。いわゆる三毒とは貪欲、愚痴、真瞋であり、これこそが人間の煩悩の根源とされます。たとえ話に、ある大地主が使用人に対して朝から次の朝までに帰るまでの範囲のすべての土地をただでやることを約束したそうです。使用人はこれぞとばかり欲をだし、昼夜を徹して駆け回り多くの土地を手に入れようとして出発地点に戻った時には力尽き絶命したそうな。笑い話でもありますが、これは足ることを知らなかったあまり煩悩でもある貪欲に支配された弱い心のたとえであり、使用人は最低でも立って半畳、寝て一畳という足る心に気が付いていれば絶命することもなかったはずです。今の生活には満足しているが、できたらもう少しお金があってもいいかな…そのような心境が知足心と言われます。もっともっとお金が欲しい、奢侈な生活をしてみたい。若い世代においては人生の目標ともなり必ず否定するものではありません。人生における知足心とは利他心でもあり、これらは人生を全うするためのフィロソフィーとも言えるようです。このような視点に立てば、ものの見方や残された人生が変わってくるとは思いませんか?