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’木を見て森を見ず’とは?

2021/12/13

 住宅メーカーの広告で最近よく目にする断熱の指標でもあるUA値は、建物の外部に面する表面積(床、壁、天井、開口部)1㎡における平均的な断熱性能を表します。その一方、最近目にすることが少なくなった断熱指標にQ値があります。Q値は床面積1㎡あたりの温度差1℃につき逃げる熱を表す単位であり、省エネの基本でもある消費エネルギーを求めるには、このQ値(熱損失係数)に床面積を乗じたQa値(総熱損失係数)を求めなくてはなりません。UA値は平均的な熱の貫流率を数値化したものであり、窓に次いで大きな熱を失う換気については考慮されていないため、UA値の数値が良くても省エネルギーには反映されることはありません。また同様にC値についても多くの誤解があるようです。気密性能の指標でもあるC値は、断熱材の性能を100%発揮させるための工法的な措置であってC値の大小は暖かさとは全く無関係なのです。「お宅の建物のC値はいくつですか?」など聞かれることが過去にもしばしばありましたが、高気密化したからと言って省エネ住宅にはならないことは高気密の代表格でもある自動車を思い浮かべれば容易に想像がつきます。省エネ住宅は、断熱、気密、換気が一体となって初めて確かな温熱環境を作ることが可能となります。木ばかりを見て森を見ないのと同様、一部分のみに着目するだけでは確かな省エネ住宅を作ることはできません。

暖房消費エネルギーの計算式は以下の通り、qa値の大小が大きく関与してきます

Qs=24×qa×D/(η×1.000) 24…1日の時間 qa…熱損失量 D…暖房度日数 η…暖房システム効率