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わび、さびの文化と日本人

2013/08/22

00239わび、さびの心と日本人は切っても切れない日本を代表する文化と言っても過言ではありません。日本列島はたびたび大地震に見舞われ時として壊滅的な被害を繰り返し被ってきました。そのため建物に対する日本人の意識の中には倒れたらまた作るという具合に天災を宿命としたこの国のありようがそのような考え方の一つのきっかけではないかと思われます。伊勢神宮が20年に一度遷宮するのもその根底には日本人が有為転変に対する無常感という生き方に他ならず、つまり石で建築物を創造する西洋人感覚の文化とは一線を画します。わび、さび建築の代表ともいえる茶室の濫觴は賤民流民が河原に建てた掘立小屋にすだれを下ろして風雅を楽しんだことが始まりとされ河原者の感覚では一切の無駄を省き飾らない部屋で立てる茶こそが本物であり、時としてこれこそ無宿人の情感そのものだったのです。わび、さびの本質はのちに財を成した流民の末裔が時折抱いた流民の民へのノスタルジーが背景にあり、これこそ連綿として受けつながれた日本人の生き方そのものです。茶室建築と数寄屋建築は同様の質素な建築でありながら、かたや流民の文化、かたや禅宗の影響と全く違うことから学び取った日本建築はまさに日本文化の系譜に繋がっているのです。毎日散歩の途中にある公園の茶室を眺めてふと思い描いてみました…。