落雪による屋根損壊の実例
2014/02/25
この建物は市内某建設会社が施工したものですが、2階の落雪の衝撃と雪の重みによって1階の屋根が損壊しました。雪の重さは1㎥あたり200~250kgと結構な重さとなり、これが落下すれば加速度を伴ない、かなり大きな衝撃となります。しかしながら、このような雪の重みは事前に想定されているため建設業者としては普段から対策は練っていてしかるべきですが、なぜこのようなことになったのでしょうか…?まず考えられるのは積雪荷重に耐えうるだけの垂木を使用していなかったということです。弊社の垂木は45×90の寸法のものを使用しているため軒の出も長く910㎜が標準です。例えばこの長さに一般的に使用されている40×45の垂木を用いれば間違いなく鼻折れし軒先は弓なりに弛んでしまいます。ただし軒の出を300㎜程度におさめれば大きな偶力は働かず、このように極端に撓むことはありません。つまり軒の出を長くするには、それに耐えうるだけの太い垂木が必要となるのです。また、この建物には屋根換気がありません。軒裏に空気を通さないと小屋裏結露により屋根の下地材がふけて腐朽菌が繁殖しやすい環境となり木材の強度は大きく低下します。このように見かけだけでは知りえない部分に対し、経済性のみを優先するあまり寸法の小さな材料を使用する傾向がありますが、それらを防止するには矩計図から垂木の寸法を自らの目で確認することです。垂木の金額は全体の工事金額に対して微々たるものですが、利益のみを優先する企業にとっては最もカットしたくなる部分でもあるのです。