落雷による火災を想定すること(可燃性断熱材の危険性)
2025/08/01
落雷によって火災が起きる確率は低いがないとは言えない。落雷による火災は毎年発生しており特に夏は太平洋側で頻発している。これらは話題性に乏しいため、あまり知られてはいないが温暖化によって今後増えることが予想される。今からおよそ20年前の平成19年6月、山形市の民家に落雷した火災によって家族4人全員が死亡する事故がおきた。この火災は建物の一部が焼けただけにも拘わらず大きな事故となった。その原因は落雷によって壁のウレタン断熱材に引火したためとも言われ、火元である室内は夥しい煤に覆われていたという。家族の死因は一酸化炭素中毒とされたが、木材などとは違いウレタンなどのプラスチック断熱材に一度火が付けば、瞬く間に解け落ちて黒煙を発し高濃度の一酸化炭素が蔓延して死に至る。また平成30年には大手建設会社の工事現場でウレタン断熱材に溶接の火花が引火し、死者5人を含む五十名ほどの負傷者を出した大惨事などの記憶も新しい。このように可燃物である断熱材が火災に遭遇すれば大惨事になることは設計業者や工事業者であれば想像するのは容易である。…にもかかわらず今ではZEHの普及もあって多くの住宅で何のためらいもなく採用され続けている。ちなみに高断熱住宅の先進地でもある北欧ではプラスチック断熱材の使用は法律で禁じられていることは日本では余り知られてはいない。かつて不燃材として重宝されたアスベストが今では健康を阻害する厄介者とされていることと同様、プラスチック断熱材もそう遠くない将来、社会問題になることが危惧される。




