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暖房機1台しか使わない家と1台しか使えない家(かわいそうな話)

2025/10/18

深夜電力を利用した蓄熱暖房は姿を消し今ではエアコン1台で床下暖房を行う

東日本震災前、東北のとある場所でのこと、前年竣工した建物に入居したAさん家族は厳しい寒さの中でも全員大満足だった。そんなAさんには誤算があった。それは暖房である。Aさん宅は深夜電力を利用した蓄熱暖房を採用したのだが、寒い冬を想定し、これを含めて7台もの暖房器具を設置した。この建物は家族も多く一応安全のためと思い設置したそうである。誤算というのは7台で不足だったわけではなく、その逆で1台だけで十分暖かかったことから6台は必要なかったという。つまりうれしい誤算でもある。一方、同じ東北地方に住むBさんは、同じく蓄熱暖房を採用したところ蓄熱が夕方まで維持できず仕方なくエアコン4台も追加した。そのためひと月の電気代は5万以上となり、余りの高額な請求に腹を立てたBさんは1台のみを残して全部止めてしまった。原発事故以来、電気料金は値上がりし、安かった深夜電力も割安感はなくなったために追い焚き式の蓄熱暖房機などは殆ど無用の長物となった。いずれにしてもA邸は「1台しか使わない暖かい家」であり、片やB邸は「1台しか使えない寒い家」という皮肉の対照とも言える建物だ。これは断熱性能の違いと建築業者の選択の違いがもたらした結果でもある。