熊本地震の教訓
2016/06/04
今回の熊本地震は震度7の揺れに2度にわたって襲われたため、平成12年の耐震基準に沿った建物でありながら全壊に至った建物が相当数にのぼったことが報道されています。平成12年の耐震基準は、同7年に起きた阪神大地震をきっかけとして改正されたものです。その基準に従った建物であっても今回の2度の震度7の地震は想定外のものと受け止められていますが、中にはクロスに亀裂が入ったくらいの軽度のものもあったようです。弊社が構造計算を基に施工する長期優良住宅は、東日本地震に際しても、その殆どが無被害(1棟のみ地盤の辷りによって沈下)であったことは、改めて構造設計の重要性を再認識するきっかけにもなりました。ちなみに平成12年基準に対して、現在施工の長期優良住宅は、それに比べ約1.5倍の耐力を有するよう設計され、更に厳格に施工されています。最も重要となる接続金物は、付属するネジの太さや、長さを無視したものであれば本来の能力を発揮することはできません。また筋違に代わる耐力面材等の施工においても厳格な基準に基づくことが重要です。そして何より耐震力を上げるためには、壁の配置に気を配りバランスを考慮することも考えておかねばなりません。部屋の広さのみを求めるために壁を削れば、地震時のねじれに抵抗できず建物が回転をおこして倒壊に至ります。従って設計の段階から無理な間取りを避けることや居間などの広い空間を作る場合には、周囲の耐力壁の配置に十分配慮することが地震に強い建物を作るポイントとなります。