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南面窓の重要性

2020/06/17

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 住宅の南面は通風や採光を確保するため可能な限り大きく開放することが常識とされていますが、最近の建物では、南面の窓の数を抑え、あえて壁面を多くとるものが多数見受けられます。南面を開放することの一番のメリットは太陽の光を室内に十分に採り入れて、室温を高め快適性を維持することにあります。このブログでも幾度となく説明していますが、例えば冬場室温5℃の部屋を快適な室温である20℃まで上昇させるのと10℃前後の建物を比べれば、後者の建物が省エネとなり得ることを理解するのは容易です。つまりこの無暖房時の室温こそが重要であり、これを自然温度差を称します。自然温度差は省エネ住宅を作るうえで大切なキーワードとなりますが、では自然温度差を高めるためにはどのように、そしてどんな点に注意すればよいのでしょうか…それには、まず建物の断熱性能を高めて室内からの熱の損失を極力少なくすることと、積極的に太陽光を採り入れることが重要となります。しかしながら南面を大きくとれば容易に採光できますが、片や大きなガラスは熱の損失も大きくなってしまうデメリットも生じます。それではどうやってこれらの矛盾点を解決するか…それには窓に使用するガラスの光の透過率や反射率、熱貫流率などと共にサッシの性能やガラスの種類(ペア、トリプル、アルゴンガス入り)など様々なパターンを想定し、熱の収支を設計の段階で予め計算することが必要です。つまり南面の大きな窓は太陽エネルギーを獲得するうえで大きな役割を果たすことから最も重要な南面を塞げば省エネ住宅とはなりません。このように省エネ住宅を作るうえでの基本中の基本は太陽熱の獲得とともに建物の熱の損失をいかに抑えるかがポイントとなるのです。