スタッフブログ

低気密、低断熱住宅が及ぼす健康被害

2021/02/09

床下エアコンによる床暖房

 日本のストック住宅のおよそ7割は昭和55年の省エネ基準以下の断熱性能の建物であると言われます。そのため、それらの大部分を占める断熱性能が低い建物は夜間に急激な室温低下をもたらし、部屋間の温度差による入浴中の事故死などは低断熱住宅がもたらす代表的な事例です。WHOは寒さから健康被害を守るためには室温18度以上が望ましいと勧告しており、中でも高血圧等の基礎疾患を抱える高齢者住宅では20度以上が推奨されていますが、冬場における高齢者の死亡事故の大きな要因の一つである血圧の急激な変化は、80歳台の年齢を例にとると、25度の部屋から5度の脱衣所に移動しただけで10.2mmHgも上昇し、さらにこの状態で入浴すれば入浴中の事故リスクがなんと1.7倍も高くなるとも指摘しています。また統計によると冬場に亡くなる全国冬季死亡増加率の全国平均は,約17.5%とされていますが、当福島県においては19%と全国平均を上回っている現状にも注視する必要があります。この結果、本県の住宅事情に関する限り、まだまだ断熱性能の高い住宅の普及が進んでいないことが推察されますが、’これからの人生は100年時代’…健康に長生きするためには、温熱環境に特化し健康に配慮するなど断熱性能を優先する建物づくりが求められているのです。