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工法は性能ではない

2022/02/22

HEAT20G2に相当する5層の建物です。

忘れ去られた工法にソーラーサーキットと共にスパーウオールがある。販売当初はTVや雑誌などにも頻繁に取り上げられ一時は業界を席捲する勢いだったが今では殆ど見かけることがなくなった。これらの工法は充填工法に対して差別化を図る目的で開発されたプラスチック断熱材を使用した外張り工法だ。外張り工法は充填工法に比べ煩わしい作業が省略できることから多くの工務店が興味を示し一時は高断熱住宅の本命とも言われた。高断熱住宅は北欧が発祥の地であり日本では昭和の後半に北海道からはじまり日本列島を南下する如く全国に広まっていった。特に充填工法は断熱材の挿入方法や気流止めを行うための基礎知識が求められたが、この工法に興味を持った工務店は時間を惜しみながらも講習会等に参加しあらゆる知識を吸収して自らの技術へと昇華させた。一方これに乗り遅れた工務店は生き残りをかけてメーカーフランチャイズの代理店としてマニュアルに従った工法を展開していった。充填工法はこれまで様々な技術が提案され改良を重ねた結果、ユーザーを満足させる工法にまで進化してきたのに対しメーカーからの’上意下達’のフランチャイズ工法は、最も重要な工務店の技術向上には後ろ向きであったことからブームも一過性のものとなった。建物の性能はユーザーがその優位性を発信することにより世間一般に周知される。つまりどちらの工法も大々的に宣伝はしたもののユーザーからは期待していたほどの優位性が発信されることがなく工法は性能を担保するものではないことが徐々に浸透した結果、淘汰されたというのが一般的な見方である。