聞くは一刻の恥
2022/03/28
歳を重ねるほど分からないことを人に聞くのは躊躇いがある。逆に若い人ほど積極的に質問しても臆することはない。これもすべてがプライドの問題であり高齢になればなるほどプライドを捨てることは容易でない。話は変わるが、弊社が高断熱住宅に取り組んだのは平成4年、当初はどのようにして取り組んだらいいものか手探り状態でもあり、まさしく五里霧中そのものだった。そこに助け舟を出してくれたのが秋田のN設計(今では高断熱住宅の権威)さんとI建築店オーナーの両人だ。当時を思い浮かべると上棟直後のやり直しなど指導の厳しさに肝を冷やしたが恥を忍んで教えを請い、苦労の末高断熱らしき建物を作ることができたのは僥倖の一言に尽きる。それから30年余り、今では高断熱住宅は弊社にとっては標準仕様(UA値0.32~0.43)となっており付加断熱と合わせて300棟近くの実績を有するまでになった。取り組み当初、地域の大方の工務店は高断熱住宅を意外と甘く見ていたフシがあり「あの会社は何か変な住宅を始めたようだ」と高みの見物を決め込み、地縁血縁など過去の実績に胡坐をかいているようにも見えた。しかし高断熱住宅はいつしかポピュラーなものとなり「某社は高断熱や長期優良住宅はできはないようだ」と噂される。よからぬ噂が広がれば巻き返しどころの話ではなく業者にとって死活問題となってくる。このように多くの工務店が高断熱住宅に乗り遅れ、未だに過去の実績にしがみつく。「できない、今更やれない、面倒だ!」多くの工務店のこうした対応が改正省エネ法の早期成立の妨げとなっている。聞くは一刻の恥、聞かぬは一生の恥である。