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防暑、涼房計画その①日射遮蔽

2022/05/02

軒先が長ければ長いほど日射の遮蔽効果は高くなる。

夏を涼しく過ごすための「防暑」は住まい手に冷房とは異なる心地よい「涼しさ」をもたらすことから「涼房」とも呼ばれる。「涼房」とは冷房と異なる爽やかな涼しさを創る手法であり効果の高い順に並べると日射遮蔽、断熱,通風、緑と水の活用となる。その①として今回は日射遮蔽について検証する。日本の家屋は夏期における屋外からの放射熱に対し殆ど無防備とされる。そのため涼房を実現するには照り返しの強い温放射面を窓からできるだけ遠ざけて室内に熱を侵入させないことが重要だ。日射遮蔽の方法としては最もポピュラーでもあるブラインドやカーテンそして窓の外側に設置するオーニングや葦簀,すだれなどがあるが一般的に効果が高いと思われているカーテンやブラインドは窓ガラスを一度透過した日射によってカーテンに蓄積された熱が再放射されるため期待したほどの効果はないとされ、むしろ外に設置する葦簀等の方が優れた効果を発揮すると言われる。日射遮蔽はこれらのアイテムも重要であるが最も基本となるものは窓の配置である。夏の日射を無視した窓の配置は冷房負荷を高めるだけで省エネにはつながらない。真夏の太陽は北東側より昇り北西側に沈むため南面に比べ東西の壁面及び窓の日射エネルギーは圧倒的に強い。よって設計の段階においては「太陽位置図」や日射進入率のケーススタデイやなどを参考に場所や大きさ等を十分検討し最も有効な組み合わせを選択することが涼房計画の第一歩となる。やむを得ず東西面に設置する場合においては先の長い庇や外付けブラインド、日射遮蔽型Low-Eガラス等を採用するなどして少しでも「涼房」に近づける努力が必要となる。特に全面ガラス張りの瀟洒なつくりはオーバーヒートに悩まされる恐れも出てくることからできるだけ避けることが望ましい。