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木を見て森を見ず(断熱材の性能と危険性)

2022/08/03

グラスウールは不燃で復元性があるため柱が乾燥収縮しても熱橋を生じることはありません。発泡ウレタン等に比べ断熱性は若干劣りますが安全性が高く再利用可能な優れたエコ建材です。

外断熱に使用される発泡プラスチック系断熱材や内側から直接壁や屋根面に吹き付ける発泡ウレタン断熱は充填断熱を不得手とする業者とっては極めて容易な、そして確実な断熱工法として日本ではポピュラーなものになりつつあるが大切な家族を守るための住まいにとって果たして安心安全なものであると言えるのだろうか?…改正省エネ法が施行されるにあたり大手メーカを含め中小の建設業者も自社の断熱性能をセールスポイントに営業活動を展開しているがユーザーの中には各社のUA値のみをもって建物の善し悪しを判断する傾向があるようだ。UA値はあくまで机上での計算式でありQ値と共に断熱指標の一つだがより確かでエコな高断熱住宅を作るにはUA値のみならず断熱基準のマニュアルに従い正しい施工を行うことができる業者選びが大前提となる。

高断熱住宅が作られた目的

高断熱住宅には暖かく住みやすいという目的と同時に少ない排出ガスが地球環境を守るという大きな命題を有する。特に北欧、ドイツなどでは環境問題に対して国民の意識は高く、ハウスメーカーや建材メーカーは、国民の厳しい目を意識した営業戦略が不可欠となっており化石燃料を原材料にした発泡プラスチック及びウレタン系の断熱材は法律で禁じられ住宅に使用されることはない。当たり前と言えば当たり前の話でもあるが化石燃料の使用を削減する目的で作られた建物に化石燃料で作った断熱材を使用するなどしたら矛盾の極みである。

問題の先送り?

「我が亡き後に洪水はきたれ」とは自分の代さえ満足すれば孫子の時代は我関せず…という例えだが、発泡系プラスチック、ウレタン系断熱材を使用した建物はまさにこれと同じものだ。今、現在は暖かい、そして地球環境に優しい省エネ住宅と標榜する建物であっても建物寿命が尽きれば解体する運命にある。一般的に解体し、そして焼却処分時にはどのようなことが想定されるだろうか?…発泡プラスチックやウレタンは燃焼することによって大量のCO2とともに有毒ガスを発生させる。建てた当時は燃料費がかからず、エコで省エネと言われた建物は解体焼却時には温暖化ガスの発生原因となる。これこそ問題の先送りであり、これらの事情を踏まえれば、発泡プラスチックやウレタン系断熱材に囲まれた家は本来の意味でのエコハウスには程遠い建物と言えよう。

全国消防長会が可燃性断熱材の不燃化を要望

ある記事によると、全国消防長会は可燃性安全対策の推進に関する要望の中で倉庫等に使用されるウレタン樹脂、スチロール樹脂等の可燃物合成樹脂発泡体を用いた断熱材は、火災発生時に燃焼拡大及び爆燃までの時間が短時間であり、避難、消火活動に大きな危険が伴うとされ、可燃性樹脂発泡体成樹脂発泡体を断熱材に用いた消防対象物に係る防火安全を断熱材に用いた建物に係る安全対策の推進を要望しているとのこと。いかに可燃性断熱材が危険なものであるのか再認識することが重要だ。

延焼の危険性は無視できない

例えば住宅密集地において、隣家から火災が発生したら少なからず延焼する危険が伴う。将来必ず起こるであろうと言われる首都直下型地震や、南海トラフ地震などが発生した場合、多くの火災が起こることが想定されるが発泡プラスチックやウレタン系の断熱材を使用した建物は、どのような状況になるのかは上記の記事からある程度推察することが可能だ。多くの断熱材には一長一短ありが、身の危険を承知しながら爆燃するようなものをあえて使うことだけは避けなくてはならない。