省エネ住宅の基本、自然温度差とQ値
2024/01/06
省エネ住宅を建てるときに最も基本となることとは何ですか?…そう聞かれると建築のプロであっても答えに窮してしまいます。ここで即座に自然温度差と答える業者がいたとすれば、かなり省エネ住宅に通暁している業者とも言えるでしょう。では自然温度差とは何か…自然温度差を導き出すには住宅の取得熱(日射熱、照明などの機器からの発熱、人体の顕熱等)を熱損失係数(Q値)で除すことにより求められます。たとえば自然温度差が9℃の建物であれば、快適室温(約20℃)にするには11℃を上げるための熱量が必要となり自然温度差が高いほど暖房エネルギーは少なくて済みます。それでは自然温度差を高めるにはどうすればいいのでしょうか?…自然温度差は前述のように内部取得熱÷熱損失係数(Q値)で求められますので分子に相当する内部取得熱を大きくするか、若しくは分母に相当する熱損失係数をできる限り小さくすることが必要です。それらを実践するためには、まず内部取得熱の中でも最も大きな割合を占める日射熱を効率的に取り込めるよう南面には十分な窓を確保すること。更に熱損失係数(Q値)を小さくする方法としては…①外部に面する断熱層を厚くしたり熱貫流率等を考慮する②熱が逃げにくいサッシ窓の採用する③効率の良い熱交換換気扇を採用することなどがポイントとなります。これらの理由などから、例えば南面の壁面積がやたら大きく小さな窓のみを設置した建物や、外観を重視し瀟洒な総ガラス張りの建物などは安定した自然温度差を確保することが難しく決して省エネ性能が高い建物にはならないことが理解できるはずです。省エネ住宅を作るにあたっては、設計段階での断熱デイテールの検討や熱計算が必要不可欠なものであり、見よう見まねの経験だけで作ることはできません。またUa値もさることながらQ値に着目することが確かな省エネ住宅を作る基本でもあるのです。